私の家では何も起こらない 恩田陸

好きでした。
恩田さんの、端正で、優雅ですらあるのに怖い、というホラーも好きなんですよねー。
なんだかこう、にこにこしている優しそうなおじ様と話をしていて、ふとそのおじ様の手元を見ると血まみれだった、みたいな怖さがある。
何かおかしい、気が付いてしまえば怖い、みたいな怖さ。
悲鳴を上げてしまうようなものではなくて、ひんやりとした手で首筋をスッと撫でられるような怖さ。
恩田さんの作品ならではの感覚だなと思います。

そして、やっぱり恩田さんの作品は、タイトルからして好きだな、っていうのも多いなあ、と思います。
そもそも、「六番目の小夜子からして、題名も良かったもんなあ。

題名にセンスがある、というのは、作家さんにしても、音楽系の方にしても、強みの一つだろうな、って思います。
題名が良い、というのは、名前負けしないか、という怖さにも繋がってしまうけど、個人的には、やはりまず何よりも、題名の良さが欲しいなと思います。


恩田さんの作品だと
「三月は深き紅の淵を」
「麦の海に沈む果実」
「黄昏の百合の骨」
も、作品自体も好きなんですけど、題名込みで好きだもんなあ。

江國香織さんも、題名のセンスが良いな、って思います。
落下する夕方
「すみれの花の砂糖づけ」
「神様のボート」
「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
「号泣する準備はできていた」
とか、あらすじより何より、題名で手に取った覚えがあるんですよねー。

そういえば、Coccoさんの作品も、題名からして雰囲気があるものも多くて、好きです。
初期のほうだと
「水鏡」
「樹海の糸」
「けもの道」
ジュゴンの見える丘」
「焼け野が原」
とか、曲自体も凄く好きなんですけど、題名込みで好きだなあ、って感じます。

キンキさんだと、「愛のかたまり」はやっぱり題名からして強いな、って思うし、最近の作品だと、
「鍵のない箱」
「この月は沈まない」
「むくのはね」
まだ涙にならない悲しみが
いのちの最後のひとしずく
宝石をちりばめて
が題名としても好きです。
ボクの背中には羽根がある」も、題名からして好きだなあ、そういえば。

剛さんソロだと、
「恋にも愛にも染まるような赤」
美しく在る為に
空が泣くから
「縁を結いて」
が好きかな。

実は、という言葉をつけるほどの事でもないんですけど(笑)、題名という意味では、好みとは違うことが多いんですよねー、どの名義でも。
それにも関わらず、歌詞やら曲やら歌声やらで凄く好きになる、っていう辺りに、抗えない魅力を感じます(笑)
完璧に好みど真ん中ではないのに、どうしても好き、っていうのが、こう、一番安心できるんですよねー。
ああ、自分は本当に好きなんだな、って思えて。

光一さんソロはかっこいい系が多いので、こちらも好みとは違うことが多いんですけど、「夜の海」「MUSE」「ヴェルヴェット・レイン」は題名として好きです。

並べてみたら自分が好きな系統が分かるかなー、って思って、ここまで、好きな題名をつらつらと並べてみたのですが、多分、それこそ小説の題名になりそうな曲名が好きなのかな(笑)
あと、自分の中で、なんとなく収まりが良い、と感じるラインがあるような気がします。

全体的に見ると、やっぱり、綺麗で物語性があるように感じる曲名や作品名のほうに心惹かれるんだろうなあ。

そう考えると、剛さんの曲には、剛さんが色濃く滲むぶん、物語性っていうのは薄くなりがちであるように感じるから、好みど真ん中、という曲名が少ないんだろうなあ。
初めて気が付きました。

ということで、私は基本的に、音楽にしろ舞台にしろ本にしろ映画にしろ、「題名」にこう、ロマンを感じるというか、広がりを感じるというか、というタイプなんだな、って改めて認識しました(笑)
題名への拘りというか、思い入れって、人によって度合いが違うような気がするんですけど、どうなんですかねー。
とりあえず、私は、下手したら題名だけでもうっとり出来るくらいの時があるので、多分、お得なタイプなんだろうな、って思います(笑)

恩田さんのまだ読めていない作品も、素敵な題名が沢山あるので、また手に取っていきたいと思います!