光琳の櫛 芝木好子

光琳の櫛 (新潮文庫)

光琳の櫛 (新潮文庫)

しばらく前に読み終わってた本です。久しぶりに好きな文章を書かれる作家さんに出会えて嬉しい。櫛を集めることに情念を燃やす女性と、彼女にまつわる男性達の話。

私は、一人で生きていく女性の話や、何かに、もしくは誰かに情念を燃やす人間の話を読むのが好きなので、この作品は読んでいて何となく安心しました。

なんだかんだと自分の意志を貫き通してしまう女性に惹かれるのは、自分自身がそういうタイプだからなのかなー。もう、自分のそういう所は、半分諦めてるんですけど。

櫛狂い。美しいものへの執着。そこから離れられない人って、結局どこか冷たくて酷い人だし、終着点が無いとも思うけど、本人にはどうしようもないんだろうな。私には、収集癖が全く無いので、分からないんですけど、分からないからこそ、興味深かったです。

夜な夜な櫛を手に取る、美しく落ち着いた女性。櫛に対しては異常なくらい執着する、結局は一人で生きていくしかない女性。彼女に関わる、何人かの男性達。淡々と読み進められた、好きな作品でした。