雪舞い 芝木好子

雪舞い (新潮文庫)

雪舞い (新潮文庫)

光琳の櫛』が良くて読んだ作品。こちらもとても良かった。ひたすら「女とは何か」っていうことを書こうとしてる作品であるように感じました。

私は地唄舞いのことはほとんど知らないんですけど、この作品を読んで興味を持ちました。有紀さんの舞いを見てみたいなあ。

香屋という画家の妻、そして料亭で働く有紀。有紀の舞いの先生や、料亭の女将、有紀に付き添う徳子、とそれぞれが強く「女」の色を持っていて、それが美しかった。

昭和三十年、っていう時代設定なので、現代よりもずっと「女とはこういうもの、こうであるべきものだ」っていうのが明確に示されて、そして、登場人物皆にその意識が共有されていて、色々と考えました。

光琳の櫛』もそうでしたが、絵や舞いといった美しい芸術が主軸になっているので、ただ、ドロドロとした感情に引っ張られるだけになることなく、節度があって良かったです。また機会を見つけて、2年に一度は読みたい作家さんだな、って思います。