作家の口福 恩田陸ほか

面白く読みました!

作家の口福 (朝日文庫)

作家の口福 (朝日文庫)

新聞に連載されたコラムを収録したもので、2011年に出ているんですけど、知っているけど読めていないな、っていう作家さんや、好きな作家さんばかりで、ああ、この人!っていう楽しさが続きました。

気にはなっていたけど、実際に文章を読むのはこれが初めてだなあ、という作家さんも数人いらしたんですけど、中村文則さんの文章が好きでした。まさに、今の時代の芥川賞作家さんだなあ、と感じて。それから、この方の食の書き方と感覚が好きだな、って感じました。

それから、朱川湊人さんの文章も、やっぱり上手いな、印象に残るな、と感じました。
朱川さんの作品は確か、「かたみ歌」をだいぶ前に、読んだと思うのですが、この文章を読んで、ああ、この感覚覚えてるな、って感じました。
昔を懐かしむのがお上手な感じ、というか。

作家さんとエッセイと小説の関係というのは、面白いですよね。
エッセイを凄く良いと感じて、その作家さんの小説も読んでみると、意外とピンと来ない時もあれば、その逆の時もあって。

どちらも違う良さがある方もいらっしゃいますし。

この中だと、江國香織さんの文章は、小説とエッセイが地続きというか、エッセイを読んでいても、まるで小説を読んでいる時のような気持ちになって、流石江國さん、と感じました。
最近、江國さんの作品を読んでいなかったのですが、この文章だけで、ああ、江國さんだなあ、って、だいぶ懐かしい気持ちになりました。
それくらい、感覚が独特なんでしょうねー。こちらの馴染み深さもあるでしょうけど。
私、恩田陸さんとあさのあつこさんと江國香織さんの小説は、作者が分からないまま文章を読んでも、この方が書いたのでは、ってある程度は分かるような気がします。多分ですけど(笑)
お三方とも、感覚が独特な方だから。

まあでも、本来、どれも魅力的、あるいは、どれも秀でている、ということはなかなか無いだろうし、作家さんのタイプによって、その方の文章や感覚が映える形態は変わるんでしょうね。

そして、やっぱり、食に関する文章は、小説でもエッセイでも、読んでいて落ち着くような気持ちにもなって良いなあ、と思います。

作家さん達の文章なだけあって、捻りがきいた物も多くて(笑)、物凄く食欲をそそられる、みたいなものは少なかったように思うんですけど、だからこその面白さがありました。

こうやって文章に触れたのも何かの御縁だと思うので、今度図書館に行くときは、ここに載っていた方々の作品を探してみたいと思います。