かんかん橋を渡ったら あさのあつこ
- 作者: あさのあつこ,加藤美紀
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2013/03/26
- メディア: 単行本
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久しぶりにあさのさんの作品を読みました。
良かったです。
あさのさん、こういう系統も良いんだなあ、って思いました。
あさのさんの作品は本当に、人間を書きたいんだな、って伝わってくるんですよね。
その登場人物の心情を書きたい、捉えたい、という強い思いが伝わってくる。
そこが好きです。惹きこまれたい、と思うし、実際、惹きこまれる。
この連作短編集、決して、明るい話ばかりではない・・・、というか、寂れた温泉町の、苦しい状況の中の話が多いんですけど、方言のあたたかさや、苦しさの中で生きていこうとする人々の感覚、息遣いまでが伝わってくるようで、一章、あるいは二章ずつ、数日かけて、じっくりと読みました。
あさのさんの文体が好きなんですよね、この濃さが。昔から読んでるからでもあるんでしょうけど。
ホッとする気持ち、怒る気持ち、あたたかさに触れたときにほどける感情、揺らぐ心、そういうものの書き方が好きです。
それぞれの人にそれぞれの生き方と事情と感情があって、生きることはどうしたって生々しくなるんだなあ、って、改めて感じました。
読めて良かったです。