空飛ぶ馬 北村薫

ずっと読んでみたいなと思っていたシリーズの第一作目をやっと読みました。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

いやあ、面白かったです!
やっぱり文章がしっかりしてる人の作品は良いですね。

女子大生が主人公、探偵役が落語家、という設定からして面白いミステリでした。
「胡桃の中の鳥」と「赤頭巾」が特に好きでした。やっぱり私は、ほのぼのしたものよりも薄暗いものに惹かれがちなんですよねー。どちらも、苦いものは苦く描かれていて、そして、変にセンチメンタルに描かれてはいなくて、好きでした。
それから、この二編の後にあたたかい話を持ってきてくれる優しさも粋だな、って感じました。

予想もつかない展開の鮮やかさ、まさに謎解き、という感じの、先が気になる面白さ。流石北村さん、って思います。

それから、この作品の面白さに惹きこまれながら、本って良いなあ、って改めて感じました。こんなにコンパクトでお値段的にも安いのに、こんなにも豊かで満足感を得られるものもそんなに無いよな、って思いますし、こんなに夢中になれるものが、こんなに手軽に手に入る、って凄く幸せだな、って思います。しかも、持ち歩けるし。

これからシリーズを読み進めていくのが楽しみです。それから、主人公の子が読んでいる本や落語にも興味を持ったので、少しずつ読んで、触れていけたら良いなあ、って思います。こうやって自分の世界が広がっていくのも読書の楽しみですよね。

もう朝晩は涼しくて、まさに読書の秋だな、って思います。今年まではスポーツの秋にもなりますけど。どちらも幸せなことだなと思うので、静かに深く、それでいて激しく、秋を楽しみたいなと思います。