遠くの声に耳を澄ませて 宮下奈都

初めて読んだ作家さんでした。

遠くの声に耳を澄ませて (新潮文庫)

遠くの声に耳を澄ませて (新潮文庫)

先々週かな、くらいに読んだ、12編の短編集です。良い短編集でした。
短編として、すごく良い。
一人一人の、ずっと続いていく人生の中の一瞬をふと切り取ってありながら、それぞれの短編の登場人物達が何かしらの関わり方をしている。
最後まで読み終えると、またもう一度、最初から読み直したくなりましたが、それはまた今度、少し時間をおいてからにしておこうと思います。

また一人、良い作家さんを見つけられて嬉しいです。
「クックブックの五日間」が特に良かった。私は、自分が食にあまり興味を持てないくせに、いや、違うのかな、持てないからこそ、なのかもしれませんが、料理をする人、あるいは、料理について美味しそうに書かれているものが、凄く好きです。
美味しい料理、美味しい食べ物は、必ずと言って良いほど、地に足をつけるだとか、幸せだとか、そういうものと繋がっているような気がします。

だからこそ、本当は、もっと食をちゃんとしないといけないんだと思ってはいるんですけど・・・。

本を読むと、皆、細々とした、ふとした瞬間を過ごしながら、日々、生きてるんだよな、っていう気持ちになることが出来て、少し安心します。
肩に力を入れずに、小さく、明日も頑張ろう、と思うことが出来る、良い作品でした。