QED百人一首の呪 高田崇史

数年前から読みたいなと思っていた本を見つけられたので、読みました。これも多分、ひと月くらい前です。
第9回メフィスト賞受賞作。

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

百人一首の呪、という題名に惹かれていたんですが、どうせ、ちょっとした小道具扱いしかされてないんじゃ、と思っていたのが申し訳なくなるくらいには、百人一首をメインにしてある作品でした。

百人一首には凡作も多く、定家は何故この百首を選んだのか、という謎がある、という話は聞いたことがあったんですけど、菅原道真崇徳院で順徳院と後鳥羽上皇を挟み、怨霊を怨霊で封じ込めようとしている、とか、この作品の説は結構、説得力もあって面白く感じました。まあ、考え過ぎなんじゃ、っていうところもあるんですけど、それはもう仕方ないですよね。

この手の説は、理屈をこねくり回すだけのものよりも、感情的に納得できるもののほうがずっと美しく感じられるように思います。

それに、きちんと殺人事件自体と百人一首が、北村薫さんの解説の言葉をお借りすると「双方の謎が手に手を取り合うという形」になっていて、そこも良かったです。

ずっと気になっていたので、読むことが出来て良かったです。