日日是好日 ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー 森下典子
お星様や拍手、いつもありがとうございます!
レス不要のコメントも、凄く嬉しかったです。ありがとうございました!
何度目の再読かなあ。
この作品は、間違いなく、私が今まで読んだエッセイの中で、一番好きな作品です。
もう、大好きです。
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
- 作者: 森下典子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10/28
- メディア: 文庫
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それこそ、この前書いた、私の中で別格の子は、大学では茶道部に入って、茶道をしてる人なんですね。物凄くアクティブな人なので、最初はちょっと意外だったんですけど、ふと手に取ったこの作品を読んでみたら、ああ、彼女がお茶をするの、納得できるな、って感じました。
お茶って、私は全然、分からなくて、堅苦しくて、ちょっと怖い世界なんだと思っていたんですけど、この作品で本当に、印象が変わりました。
大学生から、何となくのきっかけで茶道を始めた森下さんがお茶をしてみて感じたこと、気が付いたことが率直に書かれているんですけど、もう、どの章も、全部好きです。
そして、3章程、何度読んでも、うっかり泣いてしまいそうになるところがあります。
お茶のエッセイを読んで泣きそうになるとは思ってませんでした!(笑)
魅力的な先生、一から、疑問と反発の中でお茶を始め、続けていくうちに見えることの鮮やかさ、お茶という世界そのものの、がんじがらめの決め事の奥にある自由さが、小難しい事抜きに伝わってくるんですね。それから、続けることの意義も。
今回は、辞めようか、どうしようか、と森下さんが迷われるところが、自分の時期的に、凄く印象的でした。
掛け軸や茶花や和菓子、お茶そのもの、どれも、変に小難しいだけのものでは無くて、こんなに魅力的で、きちんと味わおうと思えば味わえるんだな、ってことも分かって、それも凄く新鮮でした。掛け軸だけでも、瀧や○、雪、等々、物凄く深い解釈本を読まなくても、きちんと分かるんだな、とか、いかに自分がああいう世界を印象だけで決めつけてしまっていたかに気が付いて、目から鱗が落ちる、ってこういう事を言うんだろうなあ、っていうことの連続です。
森下さんが、お茶を長年やってらっしゃって、ずっと目にしてきたもの、耳にしてきたことの意味に、ふいに「こういうことだったのか!」って気づいてらっしゃるの箇所は大体、ちょっと目頭が熱くなってしまう、みたいなことがあって、読みやすいのに、何度読んでも、前回とは違う箇所で揺さぶられます。
だからといって、お茶をしたくなるか、と言われるとまた別かな、っていう気もするのですが(笑)、機会があったら、是非触れてみたいな、とは思うようになりました。
これに出会えて良かった、って思える作品は少ないですが、エッセイに関してはこの作品は間違いなく、これからも何度も読むだろうし、そのたびに、読めて良かった、と思って、別格の彼女にもこっそり感謝するんだろうなと思います(笑)
こんなに落ち込んでしまっていた時期に読めた、っていうことは、やっぱりそれだけ、好きなんだろうなあ、ここに書いてあることが。そう思える作品がある、というのは凄く凄く幸せなことなんだろうと思うので、こういう作品ともっと沢山出会えるように、忙しさの中でも、本を手に取っていきたいなと思います。
今回もぐっと来たのは、ある出来事があったときの、
『人生に起こるできごとは、いつでも「突然」だった。昔も今も・・・。
もしも、前もってわかっていたとしても、人は、本当にそうなるまで、何も心の準備なんかできないのだ。結局は、初めての感情に触れてうろたえ、悲しむことしかできない。そして、そうなって初めて、自分が失ったものは何だったのかに気づくのだ。
でも、いったい、他のどんな生き方ができるだろう?いつだって、本当にそうなるまで、心の準備なんかできず、そして、あとは時間をかけて少しずつ、その悲しみに慣れていくしかない人間に・・・。
だからこそ、私は強く思う。
会いたいと思ったら、会わなければならない。好きな人がいたら、好きだと言わなければならない。花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。
幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ。
だから、だいじな人に会えたら、共に食べ、共に生き、だんらんを噛みしめる。
一期一会とは、そういうことなんだ・・・・。』
という箇所です。
ここは、泣いてしまいそうになるところとは違うんですけど、今まではあまりピンと来ていなかった「一期一会」という言葉について、初めて、ちゃんと納得出来たというか、お綺麗な感じに聞こえないな、って思えた文章でした。
ここまでの流れも大きいんですけど。
こういうことをずっと思っておくのは難しいんですけど、この本を手に取るときくらいは、きちんと、こういうことを想いたいな、って感じます。