十夜 

十夜

十夜

夏の靴(川端康成
剃刀(志賀直哉
イン(伊坂幸太郎
鯉(井伏鱒二
東京日記(抄)(内田百輭
ウォルター・ミティの秘められた生活(ジュームズ・サーバー)
座頭H(飯沢匡
入れ札(菊池寛
開いた窓(サキ)
相生橋煙雨(野口冨士男

十人の作家さんが好きな短編についてエッセーを書いてらっしゃって、そのエッセーのあとに、短編そのものが入っている本です。その形式が面白いなあ、って思いました。姉妹篇の十話も読みたいです。

『剃刀』が凄く良かった。怖くて、息苦しくて、こういう思いにさせられる作品を久しぶりに読んだな、って感じました。『鯉』は、国語の試験か何かで読んだものだったので、懐かしく読み返しました。好きか、と聞かれると正直そうでもないんですが、ラストの光景が鮮やかに蘇ってきて、胸に染みつくような作品だったんだな、って感じました。
それから、面白かったのが『東京日記』です。淡々と述べられていて、乾いているようなのに、どこかぬるりとした印象が残る不思議な話達。何となく、夏目漱石の『夢十夜』を思い出しました。私、あれの第一夜が凄く好きなんですよねー、終わり方が特に。題材自体は割とありがちだと思うんですけど、書き方が好きです。書きすぎてない。そして、『開いた窓』を読んで、恩田陸さんの『チョコレートコスモス』を読み直したくなりました。こんなに短い話だったんだなー、これをあそこまで膨らませる、って作家さんは凄い。

面白かったです!