訪問者 恩田陸

今日は、久しぶりに本を読むことが出来ました!
嬉しい。面白い本を読んでるときは、しみじみと幸福を感じます。

訪問者

訪問者

恩田さん×訪問者っていう題名からして、外れる気がしませんでした。皆が探り探りで過ごす緊張感、多くの個性的な登場人物の、理知的な言葉のやりとり。解き明かされる謎と、ひっそりと残される謎。

現実味があまり無い、という点では、まさにミステリだな、って感じますが、そこが良いです。美しい謎と、切り離された世界さえ楽しめればそれで良い。ただ、折角の館ものだから、もう少し詳しい建物の描写が欲しかったかなあ。

これは舞台化してほしい。ただ、嵐の夜に皆が話をしてるだけ。恩田さんのこの、ただ話をするだけに近い作品の面白さは凄い。『ネバーランド』も大好きだし、『夜のピクニック』も全く飽きなかったです。『黒と茶の幻想』もある意味、会話だけに近いのかな。

訪問者、ってこの世で一番怖いものな気がします。
呼び鈴が鳴って、ドアを開ける。そこにいるのは誰なのか。こちらは全く準備が出来ていないのに。

そういう恐怖を、上手く使ってある作品でした。