「生きる」という権利 安田好弘

「生きる」という権利―麻原彰晃主任弁護人の手記

「生きる」という権利―麻原彰晃主任弁護人の手記

先週、読んだ本です。安田さんが自ら書かれた本で、私が探し出せたのは、この一冊だけだったんですよね。あとは、対談内容を書かれたものが何冊かあるくらい。
他の方が、安田さんのことをチラッと書かれたりすることはあるんですけど。

感想としては、裁判ってこんなにも人の生身の感情や利害関係が関わるものなのか、メンツやら何やらが絡んでくるのか、っていう驚きがありました。これは、安田さんだからこそ迫ってくる部分だと思う。

ただ、私、下にも書いたけど、安田さんの考え自体には共感出来ないんですよね。色々な面で。確かに、加害者も弱者なんだろうけど、それを言ったら、弱者じゃない人間ってどれくらい居るんだろう、って思う。強い人なんてほとんどいない。弱いことを言い訳にされて危害を加えられたほうは、たまったもんじゃない。弱いなら弱いなりにやりようがある、って頑張って皆生きてるんじゃないのかな。弱いから仕方ない、なんてことは絶対に無いし、弱くても歯をくいしばって踏みとどまる人が沢山いる中で、踏みとどまれなかった人に落ち度は全く無かったと言えるのか、と思う。難しいところだけど。

正直な人だし、弁護士としては本当に正しい姿勢だと思う。被告への関わり方も、強すぎる気はするけど、そこはもう仕方ない面もあると思う。人と人だから。

だけど、やっぱり共感は出来ない。

それから、マスコミ云々の話は、上手く使ったもの勝ちな面があると思う。マスコミが無くならない以上、上手くやっていくしかない。

その信念の強さと、一貫した姿勢の根っこにあるものが何なのか知りたかったけど、結局、そこについてはこの本では分かりませんでした。それでも、様々な視点、立場がある、ってことを改めて意識することが出来たので、こういう機会に読むことが出来て良かったです。