九月が永遠に続けば 沼田まほかる

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

最近、よく聞く作家さんで、評判が良かったから、期待しすぎちゃったかなー。
もう、とにかく主人公の佐知子の言動が駄目でした。私は。
運転中に急に人が出てきたら、叫んでハンドルから手を離しちゃう、とか、女性らしさを表現するには良いんでしょうけど、こういう人物が語り手だと、やっぱり読み進めるのがきつかった。

それに、衝撃的な内容にしたいんだろうけど、正直、ありきたりだし、知らない世界のこと(トラウマや精神病、精神科医など)を一生懸命、手を伸ばして書いてみました、っていう印象を抱いてしまいました。しかも、魅力的であるはずの人物の魅力が全然伝わってこない。グロい、エロいっていう書評もちらっと読んだけど、それも弱かったと思う。

この作品を「人の心の底まで続く深い闇」を表してる、と言われるともう、「はあ・・・。これで・・・。」っていう気持ちになってしまいます。全然、どの人物にも迫りきることが出来ずに終わってると思う。後味が悪い、っていう評判みたいだけど、こんなぼんやりさだと、「悪い」とも言えないような。

思わず、この作品を評価した作家さんが誰かまで調べてしまいました。
うーん、久しぶりに合わない人だった。

あ、でも、文章は癖が無く、丁寧で読みやすかったです。そこはとても良かった。