光 三浦しをん

光

重たかった・・・。しをんさんだから、どこかに救いを求めるような話になるのかと思ったんだけど、少し予想外。系統としては、『秘密の花園』に似てる気がする。人は寄り添いあったって、そのことが何かの助けにはならない。分かり合うことも無い。愛だと信じたものは愛ではなく、意味があると信じたものは、ただ通り過ぎただけのもの。

誰もが、独りよがりに生きるしかなくて、それぞれがそれぞれにとっての真実を信じてるだけ。

人が人を想うのはとても難しいことだし、暴力は暴力に帰ってくる。誰も助けてくれない。人は、分かり合えない。需要と供給が一致しない。島だけが、月日を経て、美しく再生する。

こんなにも光が見えないのに、題名は『光』。でも、この光の無さこそが光なのかもしれない。徹底的に救いがないほうが、かえって救われる。信じるものが無いことこそが、希望なのかもしれない。

私は、こういう物語が嫌いじゃないんだよなあ。一番、しっくりくるのはこういう感覚で、一番安心するのもこういう救いの無さである気がする。

だからこそ、こうでないように見える関係性に驚くし、惹かれるんだろうなあ。