チョコレートコスモス 恩田陸

やっっと読めたー!!!
今まで、何度か読もうと思って図書館で借りたことがあったんですけど、なかなかタイミング、というか波長が合わなくて、読めずにいた作品でした。

本にしろ、映像にしろ、不思議ですよねえ、「あ、今はまだ読むべきときじゃないんだな。」ってわかるときがあるし、逆に「今がその時だ!」って感じるときもある。

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

三時間半くらいかな、思ったよりも早く読み終えることができました。もう、今、猛烈に舞台が見たい。緊張感があって、美しい舞台、素晴らしい役者がやる舞台を見たい。

恩田さんの作品を読むと、「私の理想、というか「夢」がここにある・・・!!」って思って、物凄く幸せな気持ちになります。まさに、こんな人、こんなオーディション、舞台、役者を見たい。こういう光景を見たい。こんなところに居合わせたい。

特に好きだったのは一次審査でした。ほんっとに、夢とロマンが詰まってる。不可能な設定を、いかに成り立たせ、演じるか。それぞれが全てをかけて作り上げる演技。
誰が選ばれるかのオチは割と早いうちに予想がついたんですけど、オーディションを受ける女優達が一体どうこの課題に挑むのか、ということには最後までワクワクさせられました。同じ役なのに、演じる人によってここまで多様な解釈がなされる面白さ。あー、舞台見たい。古典を見たいな。

こう思ったところで、気軽に数百円で見ることが出来ないのが、舞台の辛いところであり、魅力的なところでもありますね。自分のスケジュール、公演期間、料金、公演場所、全てがかみ合ってくれないと行くことが出来ないこのもどかしさ。だからこそ、舞台に求めるものは他の芸術作品よりもずっと多くなってしまう。なのに、自分好みの作品に出会うことは本当に少ない。だけど、だからこそ、良いものを見れたときの喜びは本当に大きいんですよね。生の力、すぐそこでやってくれるものを見る贅沢さは、一度知ってしまうともう抜け出せなくなる。

『芝居は「事件」であり、共有される「体験」なのだ。』っていう文章に、舞台の面白さが詰まってるように感じました。この感覚ですよね、同じ空間に集まった、何の縁故もない人々が、同じものを共有する不思議。同じものを集中して見て、緊張して、驚いて、笑って、悲しんで、目の前の舞台で展開していく「事件」を見届ける。共有している人の数が多いからこその大きなエネルギーが劇場に渦巻いていく。

それから、好きと魅力を感じるのとは違う、っていうのはわかるな、って思いました。確かに、似てるけど違う。

『真実を語ったりはしない。私が語るのは、真実であらねばならないこと。』この切実さがたまらないんだよなあ。「欲望という名の電車」、今度しっかり見てみよう。

アイドルには二種類いること。そして、本人にアイドルもしくはプロとしての自覚があるからといって、アイドルとしての魅力があるかどうかはまた別の話であること。恩田さんは流石だなあ、こんなにさらりと、わかりやすい文章で書いてくれる。

読み終わって、やっぱりキンキさん舞台やればいいのに!舞台!って熱い気持ちになりました。「女二人の芝居」の話だから、余計だったのかな。出来れば少人数、ほとんど二人芝居、みたいなものがいいなあ。ズタズタに傷つけあって、強烈な愛憎をぶつけ合うようなもの。

実生活でお互いに対して激しい感情をぶつけあうことは関係上出来ないだろうし、そこがキンキさんの複雑さ、面白さでもあると思うんですけど、だからこそ、舞台上で本気でやりあってみてほしい。全力で攻撃し合ってみてほしい。それを見たい。半分、怖いもの見たさ、みたいな感じですけど(笑)

お二人とも、本気で怒って、覚悟を決めてしまったら物凄く恐ろしくなりそうですもんねえ。だからこそ、もし、お二人が舞台上でお互いに対して手加減なしにやりあうことが出来るのなら、相当面白いことになると思う。実生活でやってしまえば取り返しがつかないことを後腐れなく出来るのが舞台、そして演劇の魅力でもあると思うんですよね。そういう意味では、キンキさんは舞台を凄く有効活用出来る関係性だと思う。と、恐らくファンの皆さんだけでなく、お二人も全く望んでおられないであろうことを熱く語る、っていうこの独りよがり感・・・。悪趣味ですみません!でも、悪趣味だと分かっていても、やっぱり見てみたいんだよなあ。