Family 〜ひとつになること

今回の旅での大きな収穫の一つが、自分の中での、この曲のベストな聞き方が決定したことです。

私、この曲を初めて聞いたとき、キンキさんらしく純度が高くて透明感のある、そして、今までの合作のテイストに、力強さみたいなものが加わった曲だなあ、とは思ったんですけど、正直、ちゃんと掴みきれなかったんですよね。歌詞がどうの、曲がどうのじゃなくて、こちらの問題だったんですけど・・・。なんというか、あまりに大きな歌なので、こちらはどういう心持で聞くべきなのかが、自分の中で定まらなかったんです。少なくとも、なんとなく聞ける歌ではなかった。

で、昨日、唐津に向かう途中で、久しぶりに海を見たんですね。昨日は天気が凄く良くて、青い海が太陽の光に照らされて、キラキラと輝いてました。その海を見て、唐突に『Family』を聞きたくなって、穏やかに波打つ海を眺めながら聞いてみたんです。

そしたら、もう、今まで聞いた中で一番素直に聞けて・・・というか、しっかりと受け止められて、「あー!!こういうことか!こういう歌だったんだ!」って思いました。そして、「キンキさん、なんて良い歌作ったんだろう!凄い!」って今更感じて、一人でテンション上げてました(笑)

船も島もない、ただただ輝く海と空だけが見える中で聞く『Family』は、良い曲だった。光一さんは本当に作曲の才能があると思う。そして、光一さんが作った曲ではいつも、剛さんが書いた歌詞がこんな風に生き生きとしてる。

PVにも海の映像が入ってましたし、歌詞に海っていう単語が入ってるので、海を見ながら聞くと曲が入ってきやすい、っていうのは本当に今更で、当然のことなんですけど、この曲は、写真や動画ではなく、実際に、海を目の前にして聞くのが一番意味が伝わる曲な気がしました。ただし、沖縄とかの南国の、砂浜がサンゴの死骸で出来ているような、「白い砂浜とコバルトブルーの青☆彡☆彡」みたいな海じゃピンとこない。だからといって、都会に近い、汚い海は論外。そういう意味では、唐津付近の海は、深い色でありがながら透明感があって、私が知ってる中では一番、この曲にふさわしい海である気がします。あそこは恵みの海ですしね。

Dメロとかもう、何事かと思うくらい強く響いてきたので、驚きました。私の目の前にある海は、まさに『犠牲を越えた希望の海』に見えましたし、穏やかに寄せてはかえす波をぼんやりと見ていると、確かに、手紙を入れた瓶を波に預けるのと同じ様に、愛情も『波へとそっと捧げていくものなんだ』って思えました。また、あそこのメロディが本当にドラマチックで、歌詞の壮大さに負けてないし、歌詞のひたむきさをよく表現してるんですよね!

何より、単純に海ってどこまでも繋がってるもので、人間が付けた名前を考えなければ、ひとつのものだと思うんです。だから、海を見ていると、ひとつになる、っていうことを感覚で理解できる気がする。全く同じものになる必要は無いし、それは無理なことなんだけど、いきなり途切れたりはしない、という意味ではひとつのもの。水の質も、温度も色も違っても、海は海で、ひとつのものなんだよなあ、って思うと、歌詞の世界観を受け入れやすくなるな、って感じました。

そして、改めて聞くと、二番のサビがただの剛さんから光一さんへのお手紙みたいに聞こえますね、この曲ね(笑)
『きみがいるからひとつを生きてきた』っていう歌詞を、剛さんはソロ活動でも作詞をなさってるにもかかわらず、あえて合作に持ってきた、っていうのは、そういうことなんだろうなって思います。ここへきて、今までの合作よりもメッセージ性が強いだけじゃなく、「俺とお前!それが大事!二人で歌うからこそ深みが出る歌詞!」みたいな色も強くなった曲を出してくる辺りが、キンキさんは色々と天井知らずだなあ!って思います。ちなみに、二番だけで使われている『失わない』っていう言葉のチョイスが凄く好きです。【失う】の対義語って【得る】だから、剛さんにとっては、光一さんとの関係性は人に与えられたものとか、ただあるだけのものじゃなくて、得たもの、っていう感覚なのかな、って思うとグッとくる。

それから、「これ、詩先の曲なんだよな」って思うたびに、剛さんは本当に愛に生きる人なんだな、って思うのと同時に、『Time』の『愛を受け止めることも人を愛する事になると君は教えてくれた』っていう歌詞を思い出します。こんな剛速球かつ直球、みたいな歌詞を渡されてああいう、歌詞を包み込むような暖かい曲を作ることが出来る光一さんは凄い。というかもう、キンキさん凄い。といういつもの結論に落ち着くっていう(笑)

というわけで、これからはキラキラと輝く、穏やかな海を思い浮かべながら『Family』を聞いていこうと思います。