ただ有明の月ぞ残れる

意外と「ただ有明の」とかのキーワードで、このブログにたどり着かれる方が結構いらっしゃるみたいなので、この歌について、ちょっと書いておこうと思います。

これは、
【ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる】
という歌の下の句になります。文法的な詳しい説明や、歌の意味については百人一首の解説書(81番、後徳大寺左大臣の詠んだ歌です)を読んでいただければわかると思います。競技かるたでは、「むすめふさほせ」の一字決まり七枚のうちの一枚になります。

私なりの解釈では、【もう夜も明けよう、という時刻に、ホトトギスの鳴き声が聞こえた。その姿を一目見たくて、声が聞こえた方角に目を向けてみたけれど、すでにどこかへ飛び去ってしまったのか、ただ夜明け前の月が淡く残っているだけだった。】くらいの感じかな。後朝の歌としてとらえることも出来る歌だと思います。

百人一首には、【花の色は・・・】とか【由良の戸を・・・】とか、好きな歌がいくつも含まれているんですけど、ブログの名前としては、この歌からとるのが最適かな、と思ってこれにしました。「ただ、夜明け前の月が淡く残るだけ」みたいな文章を書いていけたらなあ、って考えてます。

百人一首は・・・というか、昔の和歌は意外と意味をとりやすいし、共感できることが多いので、大好きです。千年も前から、人間が美しいと感じるものや、切なさを感じることはそんなに変わってないんだなーと思うと、今まで存在した全ての人を愛おしく感じたりします。

そして、百人一首には「奈良」が詠みこまれた歌が2首含まれてるっていうのも、剛さんファンとしては見逃せません(笑)

【いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな】伊勢大輔(61番)
【風そよぐ 奈良の小川の 夕暮れは 禊ぞ夏の しるしなりける】従二位家隆(98番)

どちらも、競技かるたの札としては、ちょっと難しい判断を迫られることがある歌で、そんなとこも剛さんっぽいなあ、と思ってます(笑)