フジ子・ヘミングさん 公演

今回の公演で、初めて、「花を贈りたい」って、こういう感情なんだなあ、って分かりました。あなたの音がとても好きです、この音を聞けたことが嬉しいです、ありがとうございました!っていう気持ちを伝えるのに、お金でも、拍手でもなく、綺麗な花を贈りたくなった。

なんでだろうなあ、フジ子さんは、花をもらうよりも、そのお金を募金にまわしてくれたほうが嬉しい、っていう方なのを知ってるのに、「この人に、美しい花を、一輪でもいいから贈りたい。」って思いました。

それくらい、グッと来た。っていっても、私が知ってる中で考えると、一昨日のフジ子さんのテンションは80%くらいだったと思うし、選曲がめちゃくちゃ好み、って訳でも無かったんですけどね。久しぶりだったからかなー、改めて、胸が熱くなりました。

それから、私、音楽を聞いて泣く、っていうのを初めて経験しました。しかも、ショパンの「木枯らし」っていう、泣くポイントが無さそうな曲で。なんだったんだろう、悲しくもないし、辛くもないはずなのに、(そして、この曲に関しては、物凄く完成度の高い演奏だったわけでもないのに)、マイナス感情から出たらしき涙が流れてきました。少しだけですけど。なんだかんだ疲れてるのかなあ。

バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」が凄く良かった!ピアノが歌ってる、としか表現しようがない感じで、この曲、こんな風に豊かに響くんだな、って驚きました。もっと退屈で、弱々しい曲だと思ってた。あの音は反則だなあ、押しつけがましくは無いのに、きちんとこちらに届いてくる強さがある。

ショパンの「別れの曲」が、いつもと違った気がする。私は、今まで聞いた限りでは、フジ子さんの「別れの曲」が一番好きです。これを「別れ」を描いた曲として聞くならば、まるで、困難な道に、自分の意志で踏み出そうとしている友を鼓舞しているような音に聞こえるんですね。もしくは、自分もどこかに踏み出し、相手も信じる道を行く、そんなお互いのこれからを祝福するような音に。

でも、昨日は、そんな勇ましさはあまり無かった気がする。別れを誇るのでなく、受け止める色が強かったように聞こえました。

全体的に、やっぱり芯が強くて、力強い。そして、他人にあまり重きを置いていない音であるように感じました。私が、フジ子さんの音に一番、求めるところが変わっていなくて嬉しかった。あの、独特の美しさ、アクの強さ、そして媚びない姿勢が好き。

そして、フジ子さんのファッションのセンスと、剛さんのセンスが似ている、ってことに気が付いて、私は、派手で、「この人にしか着こなせないな・・・。」っていう服を着ることが出来る人を好きになる傾向があるのかなあ、って考えました(笑)

今年も、「フジ子さん好きだ!!来年も行こう。今度は、前の席を選ぼう。」と心から思うことが出来て良かった。安心しました。